海岸林学会誌 物 協αιげ ′んι Jap御餐ο Sοι
̀ι妙 げ のαS′αι nttsの 1(1):1‑4,2001
論 文
1 日本 の 海 岸 林 の 現 状 と機 能 │ 近田文弘 ‐
The present conditionO and funCtiOns ofthe coastal forests in Japan
Funlihiro Konta
Abstract■ lere are several types of the cotttal forests in Japan such as evergreen conifer,deciduous broadlewed, cvergreen broadにNed,and mangrove type.M n typeおt,e evergreen conifer one whichヽCOmposed Of artrtiJ Japanese
black Pine,Pinas lわ″ηbεηit,fOrests at sandy coast。■le preseit distributions and conditions of the coastal forests are mentioned.For the present contions,it is pointed out that serious hvo problenls have occurred in the forests of the main type
One is the extens市e withering of the conifers by the,ttack ofthe pine wood nemat,deS,3′
̀aρhele77Ch′S χγlορねtlυs.The Other is the withering of the conifers suppressed by the broadleaved trees which had invaded the forests: The coぉtal forests have functions suchぉ prevensipn of strong wind,salt water droplets,tidal wave,and bgs comming ■om the sea as well as presentation of the scenery Ofthe coast.
1 は じめに
約 3 4 , 0 0 0 k 五にお よぶ 日本 の海岸 には,方 々で海岸 林 と呼ばれ る樹林 が見 られ る。これ らの樹林の構造 や樹種構成 は多様 であ り,海 岸林 の定義 に も異 なっ た見解 が あ る。また,こ れ らの樹林 の主要な構成樹 種 で あるクロマ ツの大 量の枯 死,開 発 による樹林の 喪失等様 々な問題 を抱 えてい る。筆者 は,過 去約 20 年 間 に渡 る調 査 を踏 ま えて,問 題 点 を含 めた 日本 の 海岸林 の現状 を概観 し,そ の機 能 と保 全の在 り方 に ついて若干の考察を加 えたい。
2 海 岸林の定義
海岸林 は,生 態学辞典 (沼田真,1974)によれば,潮 風 の影響 の大 きい海岸砂 地に発達す る森林 を意味す
る。 また,林 学 の立場 か らは,海 岸砂 地 に造成 され た潮害防備や飛砂防備 な どの機能 を持つ人工林 を意 味す るこ とが多 い (田中=夫 ,1992)。 しか し,海 岸 の岩石地や崖 の上に も海岸林 と呼ぶべ き森林が存 在す る。 また,熱 帯の海岸 には,下 部 が沈水す るマ
ングローブ林がある (佐藤一紘,1992).
筆者 は,今 後 の海岸林の研 究 をすす め るにあた り, 海岸林 を海岸砂地 に発達す る森林 だけでな く,岩 場 の森林やマ ングロ,ブ 林 を含 めた広い意味の海岸林 を考 えたい: 海 岸 の岩場 の森林 には,自 然林が多 く, 強風,乾 燥:極 端 な低 温や高温,潮 水の飛来 な ど海 岸特有の環境 に適応 した樹種や生態的特徴 を持 って い る.日 本列 島の北の方では,カ シワや ミズナ ラな どの落葉広葉樹 とエ ゾマ ツや トドマ ツの針葉樹 が海 岸林 を構成す る。 日本 の西南暖地では,常 緑広葉樹 林 が発達す るが,こ の常緑広葉樹林 には,ト ベ ラや ウバ メガシな どの海岸 特有の樹種 が分布 し,オ オム ラサ キシキブ,ハ チジ ョウキブシな どの海岸特有の 変種が分布す る. タ ブ ノキは, 日本海の海岸の北 ( 山 形 県北部)に まで分布す る常緑広葉樹 の海岸林構成 種 で ある. ク ロマ ツは,本 州 中部以南では,砂 浜だ けでな く岩場の海岸林で も重要な構成種である.
岩場の海岸林の分布範囲や構成樹種,林 分の構造, 国立科学博物館植 物 第 一研 究室 長 Q i e f c u r a t o ち
D c p a r t m c n t o f B o t a l l ゝN a t i O n a l S c i c n c e M u s e u m , T o k y o , 4‑1‑l Arnakub。,Tsukuba,305‑0005」apan
機能 な どは,今 後研究すべ き課題 と思われ る.
3 海 岸林の現況 と問題点 3 . 1 海岸林の現況
海岸林 の現況 と して,約 60ケ 所 の海岸林 を リス ト ア ップ して見 る と以下の よ うな海岸林の分布が認 め
られ る ( 図 1 ) . 1 ヒ 海 道 に落葉広葉樹 を主 とす る面 積 の大 きい 自然林 の海岸林が ある。オホー ツク海 に 面 して北か らメー クマ,浜 頓別,枝 幸,栄 浦,斜 里 と 続 く海岸林 には,エ ゾマ ツや カ ラマ ツ等 の針葉樹 と カシ ワ,ミ ズナ ラ等の落葉広葉樹が海岸林の構成樹 種 で あ る。斜 里町の海岸林 の波打 ち際 には:カ シ ワ の海岸 林が あ り,そ の周囲の原生花園 と呼ばれ るエ ゾスカシユ リやハマナスの花 が咲 く自然草原 を保護 してい る。本州 の 日本海 の北部の青森 県か ら新潟 県 にか けての砂 丘地 に面積 の大 きい クロマ ツ人工林 の 海岸林 が あ り,青 森 県津軽 の屏風 山海岸林,秋 田県 能代市 の風 の松 原,同 県秋 田市 の海岸林,同 県本荘 市の海岸 林,山形 県酒 田市の庄 内海岸林,新潟県紫 雲 町他 の海岸林 が著名 で あ る。この よ うなクロマ ツ海 岸 林 は,敦 賀 市 の気 比の松原,鳥 取市の鳥取砂 丘 の 海岸林 を経 て,島 根 県 の出雲 の海岸林今 とた どるこ とがで きる.屏 風 山海岸林の一部 と北側 の山地 が海 岸 にせ ま る斜 面 にはカ シワの海岸 林 が る: ま た,新 潟県 の弥彦 山の海岸 に もカ シワ林が あ る。太平洋沿 岸 では,青 森 県六 ケ所村 の棚 沢 山海 岸林,茨 城 県の 東海 村 ,鹿 島灘,千 葉 県の九十 九里浜,静 岡県 の沼 津 市や 浜 岡町,愛 知 県 の渥美半 島,二 重県の熊野灘 に面 した七里御浜 な どに面積 の大 きい人工林 と して の クロマ ツの海岸 林 が あ る。四国 ・九州 では,佐 賀 県唐津 市 の虹 の松原 ,宮 崎市の一つ葉海岸,鹿 児 島 県の吹上浜等 に同様 な規模 の大 きい クロマ ツ海岸林 がある.
砂地 の海岸 林 として,静 岡県沼津市大瀬崎 の ビャ クシ ン樹林,同 県戸 田村のイヌマキ樹林は特異 な海 岸 林 で あ る. ま た,沖 縄 県 の西表 島のマ ング ロー ブ 林 も特異 な海岸林である.
岩 浜 の海岸 林 で は,上 記 のカ シ ワ林 の他,高 知 県 の足摺岬の海岸林や沖縄県の国頭村海岸 林の常緑広 葉樹林 が あ る。しか し,岩 浜 の海岸 林 を認 定 し,地 図上で記録す るこ とは今後 にゆだね られ ている とい
‑ 1 ‑
える.
これ らの海岸 林 で は, 1 ) マ ツノザイセ ンチ ユ ウに よ るマ ツ類 の大 量 の枯 死, 2 ) 植 生 の遷移 の進行 に よ る ク ロマ ツ林 の広 葉 樹 林 化, が 大 きな 問題 と考 え ら れ る.
3 2 マ ツ類 の大量枯 死の問題 点
明治 の末 期 に九州 で発 生 した とされ る ク ロマ ツ とア カマ ツのマ ツ類 の大 量枯 死 は, 現 在 まで幾度 も繰 り 返 し発生 して きた ( 真官靖 治, 1 9 8 1 ) . 1 9 8 0 年 代 か
らまた各 地 でマ ツ類 の大量枯死が 目立つ よ うにな り, それ は現在 ま で続 い て い る。従 来 この マ ツ枯れ は西 日本 を中心 と して発 生 して きた が, 現 在 で は 山形 県 や 秋 田県等 東 北 地 方 に広 が りつ つ あ る. そ して, ク
ロマ ツの海岸 林 の激甚 な被害 と, ク ロマ ツ林 の喪失 が認められ るようになつた.マ ツ類の大量枯死の主 要な原因がマツノザイセ ンチュウとマツノマグラカ ミキ リであることは,周 知のことといえる (清原友 也 ・徳重陽山,1971;森本桂 ・岩崎厚,1972黒 田ら, 1 9 9 1 ) .
筆者 は,東 海地方 と瀬戸 内海お よび長崎 県の海岸 と海岸 に近 い 山地で,マ ツ類の大量の枯死が生 じて い る状況を調査 した (近田文弘 ら,1997; 近 田文弘, 199&Konta,R,199■ Konta,R,2000).静 岡県伊東 市 の川 奈 崎 で は,1978年 の調 査 で は (近 田文 弘, 1981)樹 高 Ih,胸 高直径 50crnにお よぶ クロマ ツ の壮齢林 が存在 したが,こ れ らのクロマ ツは全て枯 死 して,1999年 には樹高 13‑15mの スダシイ,タ ブ ノキ,オ オバヤシャブシ,カ ラスザ ンシ ョウ等の混 交林 となった。同県沼津市千本松原 では,1991年 に 30本 のクロマ ツの枯死が見 られ,そ の うち 11本 の 材か らマ ツノザイセ ンチュウが検 出 された (塩坂 ら, 1994).岡 山県玉野市では,1984年 と 1985年 に胸高 直径 50c mの ク ロマ ツが大量 に枯 死 した跡 地 が樹 高 5‑15mの ウバ メガシの純林 となった.香 川 県多度 津町の海岸 ではクロマ ツ とアカマ ツ両方 の大量 の枯 死が見 られ,樹 高 10‐13mの 枯死 したアカマ ツが同 じ位 の樹高のキ リ,ハ ゼ ノキ,ヌ ルデ等 の落葉広葉 樹林 に散在す る林分が調査 され た。山 口県防府 市の 向島で は,広 い範 囲で ク ロマ ツの枯 死が観 察 され, 樹 高 10‑15mの ク ロマ ツが枯死 して,タ ブ ノキ,ヤ マモモ,ヤ ブニ ッケィ等の常緑広葉樹 とアカメガシ
ワ,タ カノツメ,ハ ゼ ノキ等の落葉広葉樹 か ら成 る 林分に変化す る様子が調査 された (Konta,R,26oo).
筆者 が観察 あ るいは調査 した海岸林 のマ ツ類 の大 量枯死の後 は.広 葉樹林化 が見 られ た。海岸 林 を構 成す るクロマ ツは,最 も防災機能 に優れ てい るので, それ が広葉樹化 した場 合,防 災機能が低下す ること が′心配 され る.特 に.落 葉広葉樹 が分布す る 日本海 に面 した北国では,季 節風が吹 き付 ける冬季に樹木 が落 葉す るの で,問 題 は大 きい と思 われ る。また, クロマ ツ純林がマ ツノザイセ ンチ ュ ウの被害を受 け 大量枯死 した場合には,海 岸林そのものが失われ る.
33ク ロマ ツ林の広葉樹林化の問題点
昭和 30年 代 まで松葉掻 きが 日常的に行 われ ていた 人 工林 としての クロマ ツ林 は,そ の後 の燃料革命 に よつて松葉掻 きの作業が途絶 えてか ら約 50年 を経
て,林 内へ の広 葉 樹 の侵 入 が顕 著 に な り,ク ロマ ツ 林 の広葉樹林化 が各地 で見 られ るよ うになった.
筆 者 は以 下 に述 べ る海 岸 林 の広 葉 樹 林 化 を 1 ' 9 7 年 か ら 2 0 0 0 年 に か けて観 察 した . 青 森 県 津軽 地 方 の屏風 山海 岸 林 の樹齢 の高 い 内陸寄 りの ク ロマ ツ林 には,カ シ ワや エ ゾイ タヤ等 の落葉 広 葉樹 が亜 高木 層 に密 な群 落 を作 って い る. 岩 手 県 宮 古市 の浄 土ケ
浜では, ア カマツの海岸林にヤマグワ, ホ ウノキ,
ミズナ ラ等 の落葉広葉樹 が侵入 してい る.秋 田県能 代市の風の松原では,樹 高 2Cpm近い 150年 生のクロ マ ツ林 に,ニ セアカシア,カ ス ミザクラ,ケ ヤキ,エノキ等の落葉広葉樹 が侵入 して,こ れ らの樹冠がク ロマ ツの樹冠 と競 りあってい る.特 にニセアカシア は,大 きく成長 してお り,ク ロマ ツを被圧す る度合 いが高 く,林 地上壌 の窒素過 多をきたす等問題 が大 きい。また,根 萌芽 によって密生す るヤブ状 の林分 を形成す るが,落 葉性 のため冬季の強風 を防 ぐ機能 が クロマ ツに くらべ著 しく劣 る点は海岸林の構成樹 種 と して問題 と言 わね ばな らない。ニセ アカ シアの 広範 囲の侵入 は新潟 県紫雲寺町他 の クロマ ツ林で も 顕 著で あ る。静 岡県沼津 市千本松原 では,高 本 を形 成す るクロマ ツの樹冠層 に亜高木 の広葉樹 の樹冠層 が侵入 してい る様 子 が植 生調査 に よって示 され た。
調 査 され た林 分 の高 木 と して の ク ロマ ツの樹 高 は 16m以 下なので,や がて クロマ ツは ヒメユズ リハ, クロガネモ チ,ヤ ブ ニ ッケイ,エ ノキ,バ ゼ ノキ等 の広葉樹 に被圧 され て,千 本松原海岸林はクロマ ツ 林か ら照葉樹林介 と変わ つてい くと予想 され た (近 田文 弘 ら,1996).福 井県敦賀 市の気比 の松原 で は, 樹高 15m, DBH 50‑70cmの アカマ ツ林の樹冠層 に
コシアブ ラ,コ ナ ラ,ヤ マザクラ,タ カノツメ,ア ズ キナ シが混生 してい る.京 都府官津市 の天の橋立で は,林 帯幅の大きい部分で樹高 Xhの クロマ ツ林内 に:樹 高 15m,DBII1 60cmの タブ ノキをは じめモチ ノキ,タ カノツメ,ヤ マモモ,サ クラ属の一種,ナ ナ カマ ド,ヒ メユズ リハ等が亜高木層 を形成 している 林分 があ る.三 重 県熊 野市他 の七里御 浜の海岸林で は,ク ロマ ツ林内にシ ログモやヤブニ ッケイ等が密 なヤブ状 に生育 している。
面積 の大 きな海岸 林 は,国 有林であることが多い が,こ のよ うな国有林 で広葉樹林化の傾 向が顕著に 見 られ る。上記 の屏風 山:風 の松原,気 比の松原,七 里御浜 の各海岸林 は国有林 で ある。当然 の こ となが
ら,国 有林 と して適切 な管理 が行 われ てい る と考 え られ るが,1筆者 の観 察で は,な お広葉樹林化 に対す る対応 が急 がれ る と思われ る。例 えば,風 の松原 は 後谷 地 国有 林 に属 す るが,林 内 で樹 齢 が最 も高 い (150年 生)林 分は天然林施業の扱 い とのことであ る。この施 業で は,侵 入 した広葉樹 の生育のままに 森林 を推移 させ るこ とにな るので,や がて クロマ ツ は消滅す るこ とにな る。冬季 の 日本海 か らの季節風 を防 ぐ防風,飛 砂防止 のクロマツ海岸林の機能 も同 時に失われ るこ とになろ う。これ で良い とは筆者 に は思われ ない.
4海 岸林の諸機能 を高めるために
海 岸 林 の機 能 と して,ま ず防災機 能 が挙 げ られ る.
強風 防止,飛 砂 防止 ,津 波や 高 潮 の軽減 ,潮 害防止
‑ 2 ‑
などの機能はよく知 られている。 │
強風 防止;飛 砂防止の機能 を持つ海岸林 として;
青森県津軽の屏風 山海岸林は代表的である.海 岸に 面 した約 6oomの 林帯幅の部分は国有林である.波 打ち際に近い砂丘では,現 在 もクロマツ苗の植栽の 努力が続 け られている.一 方,ゃ ゃ内陸寄 りの海岸 林の下部はスイカ畑等に利用 されているが,十 分な 林帯幅 と防災機能にす ぐれ る樹種構成,林 分構造を 持う海岸林の保育に努める必要がある。この海岸林 では,部 分的にニセアカジァの優 占する林分や,ク
ロマンが将来被圧 される心配のある広葉樹の多 く侵 入 した林分が見 られ るのが′心配である.こ のよ うな ニセアカシアが優占する状況は新潟県の紫雲寺町他 の海岸林でも同様である,ニ セアカシアやその他の
広葉樹を除去し, クロマツの純林を作ることが必要
と考 え られ る.
津波 を軽減す る海岸林 の機能 は, 昭 和 3 5 年 のチ リー沖地震 の津波 を防いだ岩手県陸前高 田市の松原 によって知 られる。現在の松原は,植栽 されたクロ マツ,ア カマツの生育が良好であるが,林 帯幅はさ らに大 きい方 が望 ま しい よ うに思われ る。松原 の中 央 に コンク リー ト製の防潮堤が築かれ てお り,こ れ と関連 して松原地域の整備 が進 んでいるが,海 岸林 の機能を損な うことがないよ う配慮が必要に思われ る. 津 波や 高潮の被害 を考 える時,南 海 トラフと関 係す る地震 の発生が危惧 され る本州 中央部か ら四国 にか けての太平洋沿岸 の海岸林の整備 は重要 と思わ れ る.し か し,こ の地域の海岸林 の整備 は十分では ない よ うで ある.神 奈川県湘南海岸 の海岸林 は,林 帯幅 が極 めて小 さいが,そ れ で も付近 の住 民 か ら, 昆虫が飛 来す る元 凶になるか らクロマツを伐採 して 欲 しい とい う要求があ るとい う。静 岡市の海岸 では, 海岸林 は存在その ものが消滅 しそ うに見える。
この ほか,北 海道 の海岸林 には海 か らの霧の防止 の機能が知 られ る,魚 付 き林は,海 面に適 当な 日陰 を作 るこ とによって,魚 類 を引 き寄せた り,陸 地の 栄養分 を海へ供給す るこ とで漁業に貢献す る機能 を 担 う海岸林 で ある.静 岡県伊東市の城 ケ崎海岸林は イカ漁 のための魚付 き林であ り,新 潟県村上市のお 多伎 さまの森 はサケ漁 のための魚 付 き林である.北 海道襟裳 岬の海岸林は,か つて伐採 による海岸 林の 消失 のた めに,飛 砂 の害 に苦 しめ られ,漁 業 も低迷 したが,関 係者 の熱心 な努力 によって海岸林が復活 す る と共 に,漁 業 が盛 んにな った こ とで知 られ る ( 近田文弘,2000).こ れ らの海岸林については,さ らに海岸林の整備 をはか ると同時に海岸林の恩恵に ついて啓蒙す る努力が続け られれ るべきであろ う.
古 く,江 戸時代 か ら認 め られ た機 能 に,自 砂青松 と褒め称 え られ る風景地の提供 としての機能がある。
日本 三景 に数 え られ る宮城県の松島の海岸林,京 都 府 の天 の橋立,日 本三大松原 とされ る静岡県の三保 の松原,福 井県 の気比の松原,佐 賀県の虹の松原 は いずれ もその風景の機能が評価 された海岸林である.'
しか し,自 砂青松の風景は至 るところで失われ つつ あるのが現状 であ る.す でに述べたよ うに,昭 和 30 年 代 まで は,松 葉掻 きに よって,海 岸林 には クロァ ツの み が生 育 し,自 ず か ら白砂 青松 の風景 の 一部 が維持 され て きた と言 える。しか し,松 葉掻 きが行
われ な くなった現在, ク ロヤ ッ林 の広葉樹林化の進 行 に比例 して 白砂青松 の風景 が消滅 に向かったよ う に思 われ る。この よ うな植 生の変化 と同時に 日本人 は, 自 砂青松 の風景 を鑑賞す る心を失 つて来たので は な い だ ろ うか と筆 者 は 懸 念 す る. 我 々 は,約 3 4 , 0 0 0 k m にお よぶ 日本 の海岸 に思 い を馳せ, 自 砂 青 松 の風 景 の意 味 を問 い直すべ きではないだ ろ う
か . ‐
近年 の海岸 林の機 能 と して,公 園 としての機能が あ る.都 市 に近 い海岸林 は,都 市公園 として利用が 計 られ るこ とがあ り,静 岡県沼津市の千本松原 は市 民の公園 と して利用 され てい る,国 定公園 として整 備 され てい る海岸林 もあ り,佐 賀県の虹の松原 はそ の一例 であ る:公 園利用 に当たって,海 岸林の保全 と整備活用の両面 を適正に考慮す る必要がある.
海岸 林 の 自然保護 の機 能 も重要で,沖 縄県めヤ ン グローブ林,西 南暖地の岩場の 自然林 としての海岸 林,北 海 道の原 生花園 を含む海岸林は 自然保護 の機 能が評価 されている.
しか し,海 岸林 の 自然保護機 能の評価 と具体的な 自然保護対策 は,高 山にお ける高山植物群落の保護 に比べて遅れているよ うに思われ る。
5 海 岸林の保全の考え方
海岸林 の保全のた めに,1)マ ツノザイセ ンチュウに よるマ ツ枯れ被 害の防止 に万全 を期すべ きで ある.
このためマ ツノマ グラカ ミキ リを殺 虫剤で駆除す る
忌 i官 せ趙 崖 籠筵臨ィ 3こ :]̀lFtiF尊
ツ林 の保 全 す る林 分 と広 葉樹林化 にゆだね る林分 お よび, 公 園等 に利 用す る部 分 の 区分 を明確 に した海 岸 林 整備 計 画 を策 定 し, そ れ を実施 す るこ とが必 要 で あ る。この場 合 , 海 岸 林 の防災機 能 を確保 す るた め に は, 大 部 分 の林 分 を ク ロマ ツ純林 とす るべ き と 考 え られ る。この 計 画 の策 定 と実施 には, 市 民や ボ
ラ ンテ アの参加 が 望 まれ る. 3 ) 海 岸林 について国民 の理 解 を得 る教 育 的 な配 慮 が望 まれ る. 白 砂青 松 の 日本 人 の伝 統 的 な風景 的 な価 値観 につ いて も, こ の よ うな 教 育 の 中 で再 評 価 され る こ とが必 要 で あ る.
海 岸 林 の防災機 能 は, 小 学 生 に も理解 出来 るよ うな 教育的手だてがな され る と良い。筆者 は この よ うな 啓蒙を 目的に図書の出版 を試みた (近田文弘,2000).
引用文献
[1]清原友也。徳重陽山 (1972):マツ生木に対する線虫 の接種試験,日林誌,53,pp 210‑218
[2〕黒田ら (1991):アカマツにおけるマツ材線虫病の進 行と通水異常,日林誌,73,pp 69‑72
13]近田文弘 (1981):静岡県の植物群落,第 一法規,東
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[ 4 ] 誓 田 文 弘 ら ( 1 9 9 6 1 i 沼 津 市 千本 松 原 海 岸 の 動 態 I 海 岸 林 の概 要 とベ ル ト トラ ンセ ク トに よる植 生調査 ,Bull N a t n S c i M u s , T O k y o , S e r , , 2 2 ( 2 ) , p p 7 7 ‑ 8 5
1 5 ] 近田文弘 ら ( 1 9 9 ⊃: 沼津市千本松原海岸の動態‐H 千本松原海岸林の保全, 自然環境科学研究, l o , p p 1 7 ‑ 3 0
[ 6 ] 近田文弘( 1 9 8 8 ) : 変化す る長崎県 の植 生 と植物相 , 科 信 享専報,30,pp.37‑41
‑ 3 ‑
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京 , 1 ̲ 1 8 9 .
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村上市のお多伎
紫黒寺町海岸林▲
弥彦の海岸林○
九十九湾の海岸林▲
千里浜 ・内灘の海岸林▲
小松市の安宅の海岸林▲
加賀市の砂浜海岸林▲
敦賀市の気比の松原 ▲ 宮津市の天の橋立▲
北条砂丘の海岸林 ▲ 米子市の弓ヶ浜の海岸 出雲の海岸林▲
違 玄海町のさ
[11]佐藤一紘 (199の:村井宏ら(編), 日本の海岸林,
ソフ トサイエ ンス社,東 京,pp 226‑237.
[ 1 2 ] 田中一 夫 ( 1 9 9 2 ) : 村井宏 ら( 編) , 日本 の海岸 林, ソ フ トサイ平 ンス社, 東 京, p p . 2 ‑ 7
[ 1 3 ] 沼田真( 編) ( 1 9 7 4 ) : 生 態 学 辞 典, 築 地 書館 , 東 京 , p.39
114]真 宮 靖 治 (1981):松 が かれ て ゆ く,第 一 プ ラ ンニ ン グセ ン ター,東 京 ,pp.44‑78.
115]村 井宏 ら(編)(199あ :日 本 の海 岸 林 ,ソ フ トサイ エ ンス社,東 京,pp.67‑237
頓,1海岸林△〇
稚咲内海岸林△〇
十線海岸
,^
砂坂海岸林 釧路海岸林△〇
屏風山海岸林▲
え りも海岸林 ▲●棚沢 山海 岸林 ▲
野 田村前浜海岸林▲
二内海岸盤▲ 量上生浜海崖仏△
陸前南田市海岸林▲
松 島の海岸 林△
東海村の海岸林▲
鹿島灘海岸林▲
九十九二海岸林▲
富津海岸林▲
湘南の海岸林▲
票鮮 島の海岸林▲
書mの 城ヶ崎海岸林▲O
沼津市の大瀬崎海岸林△〇戸田村の御浜崎海岸林△〇
沼津市の千本松原▲
清水市の三保の松原▲
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ノヽ
阻 片 里
▲ 一 原 珍
州崎の海岸林▲
鶉聯鯉罹袂 膊 唸褥 労櫨
の名称の下に下線で示す )と 村井宏他 (1992)の知見によつた。
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1 西表島の海岸林○
輩 砕 /
:イ摯黒海岸埜全Q